平成14年7月29日
内閣総理大臣 小泉純一郎 様
厚生労働大臣 坂口 力  様
社団法人北海道消費者協会
会 長 辻  冨 美 子

 指定外添加物30品目の指定に対する意見書

 厚生労働省は、「食品添加物はできるだけ使用しない。」というこれまでの方針を大幅に転換し、企業からの申請を待たずに新たに30品目の食品添加物を指定することとしているが、指定に必要な手続きを省略し、しかも消費者が食品の安全性を強く求めている今日、これを守る立場にある厚生労働省が職責を放棄し、消費者の理解を得ないまま強引に押し進めようとする行為に強く抗議するとともに、下記の理由から決定内容の取り消しを求めます。



1  本来、食品添加物の指定は法に定めるとおり、企業からの申請により、国がその安全性を確認のうえ指定するという手続きを経て決定されるべきであり、この基本的なルールを無視した行為は、消費者の信頼を大きく踏みにじるものである。


1  この度の指定の一番の理由に、「輸入食品の指定外添加物使用」の問題が上げられているが、これらは当然、厚生労働省が法に基づき取り締まるべき問題であり、逆に本来業務を怠たり、安易な方策を選ぶ行為は、消費者不在の行政と云わざるを得ない。


1  この度の「フェロシアン化合物の指定」に対する消費者へのパブリックコメントの求め方は、わずか数日という異例の短い期間で、しかもその提出方法も限定されており、消費者の意見を排除するものであり、合意を得たとは言い難い。
  また、事前に消費者に対して同添加物の安全性について何ら説明がなされておらず、このような状況の中での同添加物の指定は、とうてい認められない。


1  「BSE問題に関する調査検討委員会報告」を基に、関係閣僚会議が「国民の食の安全」を守ることを目的に「食品安全委員会(仮称)」の設置と「食品安全基本法(仮称)」の制定を決定し、「同委員会準備室」を設置して、平成15年度施行に向けて検討しており、その中で総合的に判断すべきである。