(社)北海道消費者協会は、「消費者契約法の一部を改正する法律案の骨子(「消費者団体訴訟制度」の導入について)に対し、平成18年1月16日付けで、内閣府国民生活局消費者団体訴訟制度検討室あてに、意見を提出いたしました。


平成18年1月16日 
 
 内閣府国民生活局
   消費者団体訴訟制度検討室  様

 

社団法人 北海道消費者協会  
会 長   辻  冨美子    
 
   札幌市中央区北3条西7丁目 
北海道道庁別館西棟   
電話番号:011-221-4217   
 

「消費者契約法の一部を改正する法律案の骨子」に対する意見

  

  消費者団体訴訟制度検討委員会は、消費者団体訴訟制度の導入を内容とする報告書を国民生活審議会消費者政策部会に報告し了承され、今年の通常国会に法案が提出されると伺っております。

 消費者団体に事業者の不当な行為を差し止める権利を認める「消費者団体訴訟制度」は、消費者被害の未然防止・拡大防止を図るため、消費者・消費者団体が長年にわたり求めてきた制度であり、本制度の導入を高く評価します。

 今回の消費者契約法の一部を改正する法律の骨子(「消費者団体訴訟制度」の導入について)に対する意見募集にあたり、以下の点を求める。
 


1. 「消費者団体訴訟制度」を特定商取引法や京浜表示法等、消費者関連法全体に
   導入を図ること


  第1 目的に「消費者契約法が施行され、消費者の被害救済が個別的・事後的に図られているが、同種の消費者被害の発生又は拡大を阻止するには限界がある。このため、救済・予防の早期化・実効化を図ることとし、同法の実効性確保策として、所要の法整備をおこなう。」としており、制度の導入を消費者契約法に限定している、消費者契約法以外の法律に関係する消費者被害も多発しており、本法案骨子の趣旨である救済・予防の早期化・実効化を図るため消費者団体訴訟制度を消費者関連法全般に導入すべきである。


2. 差止請求の対象とすべき行為に、いわゆる「推奨行為」も差止めの対象とし、
   「事業者団体」等を相手方として差止請求できるようにすること


  第2 制度の内容・1で、差止請求の対象を「消費者契約法 第8条から第10条までに規定する不当条項については事業者又はその代理人を相手方として、当該相手方に応じた内容の差止請求をすることができる。」としている。事業者団体等による不当な契約条項を含む契約書を事業者に推奨したり、提案したりする場合があり、効果的な差止めを図るため、いわゆる「推奨行為」も差止請求の対象とするべき行為とし、不当条項については「事業者団体」等を相手方として、差止め請求ができるようにすべきである。


3.適格消費者団体への資金援助等の支援策を講じること

  第2 制度内容・2・(1)・A適格用件で、「差止請求関係業務を適正に遂行するに足りる経理的基盤を有すること。」と規定しているが、消費者団体等は財源が逼迫しており、差止請求関係業務の遂行に係わる費用等の捻出は非常に困難な状況にある。業務を適正に遂行するため、行政による資金援助等、財政面の支援策が必要である。


4.適格消費者団体の認定有効期間を5年以上に設定すべきである。

  第2 制度内容・2・(2)・A適格消費者団体の監督措置で、「認定の有効期間は3年とし、更新制をとる。」としているが、差止請求関係業務に係わる調査期間や訴訟準備、訴訟後の確定判決までの期間等を考慮した場合、有効期間の3年は短い。認定有効期間を少なくとも5年以上に設定する必要がある。


5.差止請求は「不当な行為が行われ、消費者被害が拡大した地域」を管轄する裁判所に訴えることが出来るようにすること

  3 訴訟関係・Bで、「管轄について、民事訴訟法第5条の特別裁判籍として、事業者の営業所等の所在地の管轄(第5号)を認める。」と規定しているが、本社や営業所の存在しない地方で不当な行為が行われ、消費者被害が拡大した場合、その地域の適格認定団体が被害発生地域の管轄裁判所に訴訟できなければ、利便性・実効性が損なわれるおそれがある。
   利便性・実効性を考慮し「不当な行為が行われ、消費者被害が拡大した地域」の管轄裁判所に差止請求の訴えを起すことができるようにすべきである。


6.同一事件の確定判決等が存在する場合でも、訴えを請求できるようにすること

  3 訴訟関係・(注)・(b)で、「他の適格消費者団体による確定判決等が存する場合、同一事件の請求は原則としてすることができない。」と規定しているが、社会背景や法の整備等で判断が変わることがあり、同一事件の確定判決等が存在する場合でも、訴えを請求できるようにすべきである。


7.消費者被害の損害賠償を請求できる制度の導入を検討すること

  法律案の骨子には、「消費者被害の損害賠償請求」の規定はない。消費者被害の未然防止・拡大防止を図るため差止請求と同時に、個々の消費者の損害を救済する方策が必要である。
  消費者トラブルは、少額多数被害が多くl、個別訴訟による事後的救済が困難なものが多い。差止請求のみでは悪質事業者に対する抑止策として不十分であり、損害賠償請求が可能な制度にすべきである。